宗教法人東園寺

塩釜中央幼稚園

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おさなご

お月見(おさなご10月号)

 松島は昔から月見の名所として知られています。松島の語源を「つきまつしま」とする一説があるほど松島の月、そして水面に浮かぶ月影は美しいですね。仙台藩祖である伊達政宗公も松島でお月見をしたことがあるそうで記録によると亡くなる前年の寛永十二年の旧暦八月十五日に中秋の名月を賞(め)でようと松島湾に舟を出して一晩中過ごされたようです。このとき政宗公は六十九歳。残念ながら曇り空で月を見ることはかなわなかったようで、次のような漢詩を作っています。

今霄(こんしょう)、月を待ちて 吟筇(ぎんきょう)に倚れば

滄海は茫茫(ぼうぼう)として 一気濃やかなり

清光佳興の荐(せん)を思い見て

道人、緩やかに打つ 五更(ごこう)の鐘

 (現代語訳)                                                 松島で中秋の名月を賞でんと、杖をつき月を待てば、海は秋の霧に包まれて茫茫と霞み、月は一向に見えない。宴は続けど、月は雲間を出たかと思えばまた曇り、早や夜明けも近い。瑞巌寺の僧は、われらが月見の宴を気遣ってか、ゆっくりと五更の鐘を打つ。
※漢詩と現代語訳は『伊達政宗漢詩校釈』(島森哲男先生 宮城教育大学硏究紀要)より引用

 皓々と水面を照らす松島の月に見えることは出来なかった政宗公ですが、月を待つこと自体を楽しんだことが窺える漢詩です。今は夜でも様々な楽しみがありますから、のんびりお月見などという機会は無いかも知れませんが、夜空の月を見ていると不思議と心が落ち着くものです。やみ夜を照らす月光は仏の智慧や慈悲を表すと言いますが、理屈抜きでそう感じます。

 瑞巌寺夜間参拝ご招待の企画にはたくさんのお申し込みありがとうございました。ライトアップの月と本物の月をご覧頂きながらお子様と共に楽しい時間をお過ごし頂ければ幸いです。夜は大変冷えますので暖かくしてお越しください。

園長 千坂成也 合掌

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